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あれ以来、私は斗真君の事ばかり考えてしま う。
クラスの男子と話しても、全く感じる事のない この胸のトキメキは、いったいなんなんだろ う。
「はぁ……」
理由もわからない溜息が、自然と口から漏れ た。
「雫が溜息なんて珍しいじゃん。何かあっ た?」
お弁当を食べてた昼休み。
鈴ちゃんが不思議そうに顔を覗き込む。
「えっ!や、なんにも…ないよ」
「ふぅん。まっ、いっけど」
慌てて大袈裟に否定した私を見て、鈴ちゃんは 意味深な笑みを浮かべて、またお弁当に視線を 戻す。
「あのね……。聞いてもいい?」
顔色を伺うように尋ねた私は、「ん?」と顔を 上げた鈴ちゃんに、それとなく聞いてみた。
「鈴ちゃんは男の人にドキドキした事ある?」
「はっ?何いきなり。まさかあんた好きな人で もできた?」
「やだ、違う違う」
勘のいい鈴ちゃんに一瞬ドキリとしながら、
「例えば、例えばだからね。気がついたら誰か の事を考えてるとか、こうなんていうか胸が ぎゅ~っと締め付けれられたりとか……」
私なりに一生懸命説明する言葉に、何かを感じ た鈴ちゃんは一言即答する。
「恋だね、それは」
「…恋……?」
首を傾げて戸惑う私に、その感情の正体を鈴 ちゃんが教えてくれた。
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