きっかけは1冊の本

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「あたしも、満(みつる)と付き合い始めた時そう だったもん。もう毎日満の事ばっか考えてた し、会いたくてたまんなかったし。ちょっと目 が合っただけで恥ずかしくてドキドキしたり さ。まぁ、そんなの最初だけなんだけどね」 数ヶ月前に別れた、鈴ちゃんの元カレの話しを 聞かされて、あまりにも自分の今の状況と似て いる事に、私はやっと気づかされる。 そして会うのが3回目となった今日、隣りに座 る斗真君にチラリと視線を向ければ。 「なに?どうしたの?」 バッチリ目が合ったまま微笑まれて……。 「な、なんでもないです」 恥ずかしさのあまり反らした視線は、開かれた 本のページに落とされた。 ―――これが、恋……。 私は、斗真君が好き……。 意識すればするほど、きごちなくなってしま う。 週に1度だけ、図書館でしか会えない人。 始めはそれでも良かった。 会えるだけで、話せるだけで、それだけでいい と思っていたのに。 これが恋だと気づいた時。 もっと会いたいと思ってしまう。 もっと一緒にいたいと思ってしまう。 相手の特別になりたいと願ってしまう。
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