842人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はそっとサクから離れ、サクをじっと見つめた。そして…
「サク、正座っ」
「っ、はいっ」
サクは俺の指示に従い、しゅばっと正座をし、何かを喋ろうと俺の顔を見ては泣きそうになってうつむくことを繰り返している。
……いやべつにかわいいだなんて思ってないし
…ふぅ……
気を取り直してー……よいしょっ、と。
サクの前に同じように正座する。
では、お説教タイムスタートです(キリッ
「サク、さっき俺に何しようとしたの?」
「……………キス」
「サクは好きでもない人にキスしちゃう悪い子なんですか?」
「っ…違うっ!!俺はユウのことが本気でっ!!…っ」
うつむいていた顔を上げて反論するも、俺と目が合うなり言葉が詰まるサク。
「本気で………何?」
「っ………言えないっ」
うつむきながら首を振るサクの肩にそっと手を置くと、びくっと体が跳ねた。
「…どうして言えないの?」
「だって……俺………ユウの嫌がるようなことをした……そんなやつが…言う資格なんて……ないっ」
肩を震わせて泣き始めるサクを、俺はぎゅっと抱き締めた。
「ちゃんと反省してるんだ?」
「もちろんっ………絶対もうキスしないっ…絶対っ」
俺にぎゅっと抱きついて泣くサクは、まるで小さな子供のようだった。
…じゃあそろそろお説教タイムを終わらせましょうかー
ニヤッと笑いながら俺はサクに言った。
「べつにキスしてもいいのに」
最初のコメントを投稿しよう!