第一章 始まり

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【場面は公園に変わる】 おじいさん 「若者は逃げました。しかし流石は悪魔、直ぐに見つかり逃げても逃げても追って来ます」 老人が紙を捲ると紙芝居の絵が変わる。そこに描かれていたのは、逃げる1人の若い人間と空から翼を使い追いかける悪魔たちの絵である。 おじいさん 「若者は走りました。息を切らせながらも必死で走りました。後ろでは何発もの魔法が爆発しています」 良く見ると、紙芝居に描かれている逃げる若者の後ろに小さな黒い玉がいくつも飛んできている様子が見てとれる。 その内の何発かが地面に当たったのであろう、人間の後ろで小さな土埃がいくつも舞い上がっている様子が描かれている。 おじいさん 「若者はとうとう木の根に躓き転んでしまいました。その時、悪魔たちの魔法の雨が降り注ぎます」 子供たちは皆、真剣な眼差しで老人の紙芝居の世界へと誘われ入り込んでいる。 まるで物語の“若者”が木に倒れながら迫り来る魔法の雨を見上げている場面に、子供たちがいる様な錯覚さえ受ける程に。 おじいさん 「若者は、その魔法に恐怖し、もうだめだと思いながら目を瞑ります……」 言いながら老人が紙を捲ると紙芝居の絵が変わる。そこに描かれていたのは、尖った耳を持つ1人の男性の絵。 その男性は、エメラルドグリーンの髪と瞳を持ち体の回りが青く輝いている様に見える。 おじいさん 「しかし、待っても待っても痛みが来ることはありませんでした。不思議に思って、そっと目を開けます。すると、目の前には…」
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