「王と呼ばれた日」

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―――――― ――― この学院の授業では以外にも大変だと言うことは少なかった。 一時限目には化学(ばけがく)といういかにもな科目があったが(自習になったけれど)、その後の授業は他の、人の学校と変わらない平々凡々とした授業だった。まぁ、人間世界なのだから、こちらの世界に主軸にしているのはある意味当たり前なのかもしれない。 「……なぁ、貴様。こんな数字を求めて何になるのじゃ。一体何の役に立つのじゃ」 「…………授業中」 サキュバスさんが困惑としたような声音で聞いてくるのを、僕は最低限の発言で流す。 「いや、じゃがのう、これは何なんじゃ。帝王学とかはないのか? どうせ数字を見るなら財政とか、そういうことの方が重要だと思うのじゃ」 「……それは大学でやる」 「と言うか、人間の学生期間長くないか? 十何年と学生なのじゃろう……? それだけあれば生活に必要なことは教えられると思うのじゃ」 「……これは生活と関係ないから大丈夫」 「なら、なおさらやる意味が分からん……。忍耐力の鍛錬なのか……?」 サキュバスさんが中学生の屁理屈のようなことを考えている。勉強は必要だ。社会が勉強を、学歴を必要としている限りは。勉強しても将来使わない? 学生期間に必須だろう。勉強しなくても困らない? 現在進行形で困っているだろう中学生。
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