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「今何か邪なことを考えんかったか?」
「……そんなことよりもだ」
僕はさっさと話題を変えて逃げることにする。
「……キミがそこまで言う、キミの叶えたい夢とは一体何なんだ」
「我の夢か? それはの」
サキュバスさんは、フンスッと胸を張り、
「この世界から差別を無くすことじゃ!」
「……何を言っているんだお前は」
「お、お前とはなんじゃお前とは! 恥を知れ!」
おっと、思わず本音が口から飛び出してしまったようだ。
「……恥を知って欲しいのはそっちのほうだ。差別はなくならない。そして、差別はなくてはならない」
サキュバスさんは僕の発言を聞いて、怒ったように、
「な、何を言うのじゃ! 差別はよくないことじゃ! 我は差別されて苦しかった! これを無くしたいと思うことの何が間違っておる!」
「……差別はそれだけじゃない。差別は贔屓だ」
「贔屓?」
サキュバスさんは僕の話に興味を持ったようだ。言わなければ良かった。面倒くさい。
しかし、ここまできて説明しないのもなんなので、僕は僕の持論を言ってやる。
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