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僕は放っておくのも気が引けたので、
「……ここだ、ここ。ここに札を入れる」
「こ、ここか? 入れるー……」
サキュバスさんは僕の指示に素直に従う。王女と聞いているから、指図されるのは嫌うかもとは思ったが、どうやらそんなことはないようだ。良い王の素質なのではないだろうか。
「そして、欲しい料理のボタンを押す」
「お、押す……。ど、どれが美味しいんじゃ?」
「……肉がいいか?」
「うむ、朝は肉に限る」
僕は魚だ。
「……なら、これだ」
ピッ、と。僕は焼肉定食のボタンを押してやる。サキュバスさんはお釣りと食券が出てくるのに若干感動しつつ、その二つを回収し、僕とサキュバスさんは料理と交換するカウンターへと向かう。そして、食券と料理を交換し、僕とサキュバスさんは隣同士さくらんぼ。並んで座る。
「……いや、何故隣に来る」
「ん? 何か言ったかの?」
「…………なんでもない」
サキュバスさんは焼肉定食を見て舌なめずりしながら、
「クックックー、美味しそうじゃのう美味しそうじゃのう。香辛料の香りが効いておるわ! ああ、なんと贅沢な……」
もっと良いもの食べてきたんじゃないのか王女。
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