「嬉々迫る不幸自慢」

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まぁ、世界が違うのだ。真新しいのかもしれない。と、思って、疑問が生じたので、聞いてみる。 「……サキュバスさん」 「クロエじゃ」 「…………クロエ」 「なんじゃ?」 女はめんどくさいというフレーズが浮かんだ。 僕はテーブルに備え付けられている割り箸を取り、パキッと割る。また不揃いに割れてしまった。今まで綺麗に割れた覚えがない。 「……なんで、あんなに食券を買うのに手間取っていたんだ」 「なんでって、そりゃ慣れておらんからじゃ」 サキュバスさんは答えながら、僕の先程の肯定を見よう見真似で、割り箸を割る。綺麗に割れている。これが天才か……。 「慣れていない、と言うが、キミたち異種族が来たのは五年も前だろう。流石に、少しは慣れていると、思うんだが」 「何を言っておる。我はこの世界に来たのはつい最近じゃ」 「……そうなのか?」
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