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黒いストライプのスーツを細身で長身の体に纏い、
黒いエナメルの靴をカツカツと大理石の床で鳴らしながら、
こちらに向かってくるその姿は、まさに……
ちょーセレブ!!
しかも遠目でもわかるほどのイケメン。
歩を進める度に、茶色がかったサラサラの髪が得意げに揺れている。
その姿を、むかつく社長も視界に捉えると、
「くりゅーさま!」
と叫びながら、近寄りヘコヘコと頭を下げた。
は?
く、…く…りゅ……、さま??
―――誰だろ?
と、ポカーンって顔してその姿を見ているあたしを余所に、にわかにザワツキ始めるあたしの周り。
何で!?どうして!?
って思っていた女の子たちが、気が付くと次々と奇声を上げていた。
「きゃー!くりゅーさまよー!」
「かっこいいー!」
って、うん。
そりゃ確かに、ビジュアルだけで言うならかっこいいと思うけど…。
さながらアイドルのコンサートみたいなその光景に、やっぱりあたし1人がドン引きで置いていかれてる感じ。
だって、手。
手錠で繋がれてるんだよ?
いくら目の前に、ちょーが付くほどのイケメンが現れたからって、騒げる気分になんて、なれるわけないのに。
。
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