2人が本棚に入れています
本棚に追加
学年を進級する度に従って毎回恒例な学校行事がある。
それがクラス替えだ。
それが二人の最初の接点……
つまり出会いであった。
桜の花びらが咲き誇る時期にうちの高校の恒例行事……クラス替えを決まってする。
まぁ、世間一般的な学校では大抵していることだ。
だが、俺にとっては全くもってクラス替えをする行為の主旨が分からん……
…と言うよりクラスの生徒を毎回変えることによって何が変わると?
答えは簡単だ。
何も変わらん、変わるとすれば教室で見る生徒の顔ぐらいだ。
だから俺はクラス替えの日は決まって学校を休んで家に一日中篭る。
そしてクラス替えでクラスの生徒同士が親しくなった頃に俺は何も無かったかの様に学校に登校する。
8時20分――
流石に時間が時間だけに教室には既にほとんどの生徒が仲良くなった相手や意気投合した者同士が集まって楽しく会話をしていたが皆、目の前を横切る俺が丸で見えないかのように会話を続ける。
まぁ俺にしたらそちらの方が有り難いに越したことはない。
逆に俺は問いたい……
お前達のその関係は果して卒業しても続くのかを……
窓際から数えて一列目の後ろから二番目にある自分の席に座った少年が鞄から数学の問題集とノート、筆箱を取り出し、問題を黙々と解き始める
そこにストレートで長めの黒髪の前髪をピンでとめた少女が少年の席に来て少年に話し掛ける
「あの~……
そこ、私の席じゃないかと…思うんだけどぉ…?」
少女に話しかけられた少年が問題を解くのを中断し、ゆっくりと顔を上げて少女の顔を見た後、鞄からメモ用紙を取り出し、何かを書き始める
「ガン無視……ですか」
メモ用紙に何かを書く少年を見ながら呟く少女
少女に何かを書き終えたメモ用紙を見せる少年
少年の見せるメモ用紙を少女が読む
「君の席はこの席じゃない。
今、君の後ろで楽しく友人と会話する男子生徒が座っている席が本当の君の席だ。?」
メモ用紙に書かれている通りに自分の後ろにある席を見る少女
「あー本当だぁ!
ちょっとここ、私の席なんですけど~」
「えっ!あ!
ここ、笹深(ささみ)さんのッ!?
ゴメン、ゴメン、気付かなくってさ」
少女に言われて慌てて席をどく男子生徒
「今度、間違えたら許さないからねぇ~」
「分かってるって~」
笑顔で冗談っぽく話す少女と男子生徒
最初のコメントを投稿しよう!