第1章 ダンジョンマスター始動

18/24
前へ
/34ページ
次へ
宣言どおり、夕方はお昼までと同じようにゆっくりすごしていた。考えてみれば、休憩を挟んだとはいえ、濃密な一日だった。まだ俺もセレーナも生まれて一日もたっていないのに。セレーナに言うと、彼女もちょっと驚いた顔をし、 「本当ですよね。よく考えればまだ言葉通りの誕生日なんですね。ゴッドにも今日生み出されて初めて会ったなんて、なんか不思議な感じがします。」 と言って笑っていた。 ちなみに夕飯はもう食べ、俺は入浴を済ませてある。今はベッドでくつろぎながら、セレーナを待っているところだ。生まれて2番目の創造が理想の女性像を体現したセレーナなのだから、生まれ変わる前の俺だったら、今頃妄想を膨らませていたのだと思う。だが、生まれ変わった後の俺は違うようだ。以前の自我の影響でセレーナを生んだし、セレーナのことはもちろん好きだし、一緒にいて楽しい。しかし、今の俺は分類上、ダンジョンマスターというコアによって、もしくは世界によって創造された特殊な存在なのだ。つまり、子孫は残せないし、またそのような本能も前より少しかけている。 何が言いたいかと言うと、性欲があまりないのだ。あるのも多分前のなごりだろう。セレーナにそういった感情をほとんど持たないというのが、以前の俺ではありえないことが、感覚的にわかるために、自分のことを不思議に感じていた。 「ゴッド、出ましたよ。お風呂、すごい気持ちよかったです。次は一緒に入ってくださいね。」 セレーナが出てきて、早々アプローチしてきた。きっと、昔の俺はこんなこと言われたら冷静じゃいられなかっただろう。ベッドもひとつだけにしたぐらいだし、多分セレーナも意識してるんだな。おとなしいイメージでカスタマズしたにしては、大分積極的ではあるが。 「ああ、そうだな。明日からは一緒に入ろうか。背中洗ってもらうというのもよさそうだ。」 「はい!しっかり洗います。」 だから、こんな返しもできる。おかしい。本当に自分に違和感がありまくりだ。言い出したセレーナのほうが顔を真っ赤にして喜んでいるなんて。まあ性欲もなくはないし、セレーナのことも好きだし、別にいいだろう。ただ明日は開放だし、セレーナに手を出すのは明日以降だな。 「だけど、今日は明日に備えてゆっくり寝ような。さあおいで。おやすみ。」
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

285人が本棚に入れています
本棚に追加