第1章 ダンジョンマスター始動

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セレーナの声で朝を迎える。朝といっても、窓もない小部屋なのでコアの時間管理によって知るだけだが。 セレーナと彼女が作った朝食を食べた後、予定を確認していく。開放した後では遅いのだ。今のうちに最低限やることは共有しておきたい。 「開放は、転移装置の設置で行い、その後地上エリアにダンジョンを拡大。支配能力で、最低限地上エリアの安全を確認し、その後はセレーナの精霊魔法で周囲を確認。もし地上エリアや付近に魔物などがいる場合は、ひとまず戻り対応をねる。ここまでは大丈夫か?」 言いながら緊張感も増していく。ある意味最初の鬼門である。 「大丈夫です。精霊魔法は最上位風精霊、最上位地精霊を転移装置設置前に召還しておいて、ゴッドの確認後は精霊の能力で確認。召還で残る私の魔力は大体8割程度ですね。」 やることは限られているとはいえ、つめの甘い点がないか、もう一度見直しておく。3度ほど、全過程を見直したところで、ようやく決意が固まった。 「それじゃあ、今から開放を始めるよ。まず精霊を召還してくれ。」 「はい。最上級風精霊、最上級地精霊召還。」 俺の指示でセレーナが精霊魔法を使う。 自然魔法が魔法の魔力を自身が提供することで創造を具現化する効果を生み出すのに対し、精霊魔法は魔力によって精霊を呼び出し使役するが、その後は精霊が空気中の魔力を用いて魔法を行使するため、使う魔力以上の結果をもたらすものだ。ただ与えた魔力は精霊を呼び出している間回復することはない。魔力の大きさ、質が必要なため使い手自体が少なく、最上級の精霊を呼び出せるものはごくわずかだ。セレーナが最上級精霊一体の召還で魔力の一割しか使わないと言うのは正直やばい。呼び出せる人間でも普通は半分近くは使うはずだ。ちなみに精霊の使う魔法も自然魔法も決まった形があるわけではなく、個々の想像を具現化するものだ。区分としては下級、中級、上級、最上級があるが、これは魔法の分類ではなく、可能な操作やその精密さによる分類である。 セレーナを中心に2筋の光が回っている。まるで観察するようにいたるところをめぐっていたが、終わったのかセレーナの目の前で2つの光が止まっていた。セレーナもこっちを向いてうなずいている。初めて知ったが、精霊に決まった形はなく、この光が精霊なんだろう。おれには判断はしづらいが、これで召還は終わったみたいだ。
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