第1章 ダンジョンマスター始動

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ムッとした空気が満ちている。熱帯の原生林地域を選んだから温度や湿度が高いのは当たり前か。ただ本来不快であるような空気でも、初めて吸う自然の空気というのはおいしいものだ。なにせあの部屋は完璧というくらいに空調管理がされている。設定を調整することはできるのだが、わざわざ居住スペースを最良の状態から変えなくてもいいだろう。 それにしても。生まれて一日ちょっと、人生初の外出だな。 「隠れるにはちょうどいいが、視界が悪いな。セレーナの精霊たちがいなかったら結構きつかったかもな。」 「そうですね。魔物たちの察知範囲は広いですから、精霊の察知は結構重要になりそうです。まだエリア内にはいませんが、しとめられるように罠などをしかけておきますか?」 基本樹木が茂っているが、エリア内にもひらけたスペースがある。おそらく魔物たちや冒険者の通り道になっているんだろう。仕留めるなら、そこでだろう。群れでもそれなりの数を引き込めるはずだ。 「そうしよう。ちょうどいい魔法はあるか?できれば任意のタイミングで、広間に入っている魔物を一網打尽にできるようなもので。できれば林などは傷つけず。」 林などに痕跡を残してしまうと、魔物ならともかく、冒険者には警戒されてしまう。 「風精霊の魔法を使えば特に痕跡も残らないと思います。監視では下級精霊のまとめ役程度なので、魔法行使にも影響はないはずです。一応樹木精霊も召還しておきますか?環境的には最良だと思います。」 「じゃあ頼めるか?風と樹木の精霊なら最良だろう。足止め用の魔法も頼む。」 「では。最上級樹木精霊召喚。」 さすがに二度目なのでそれほど驚きはない。一度目を考えると、これでもまだ7割も魔力が残っているのか。召喚が終わると、セレーナは光に目を向けている。魔法の指示を行っているようだ。 「ゴッド。魔法の設置終わりました。監視や指示と連動できるようになってます。」 「じゃあ、とりあえず戻ろうか。とりあえずダンジョンマスターとしての第一段階はこれでいいだろう。」
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