黒の日常

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太陽がゆっくりと地上へと顔を出し、街に光を与えていく。 まず、光が差し込んでいくのは高層ビルやホテルといった高さのある建物。 そこから徐々に優しい光は下がって行き、気持ちの良い朝を迎える。 とあるホテルの一室では二人の女性が眠りに就いていたのだが、乱雑に閉められたカーテンは二枚が交差することなく存在しており、隙間から漏れ出した光によって、二人の顔や身体を照らし、遮光の意味を失っていた。 最初に目を覚ましたのは窓側のベッドで眠っていた少女だった。 顔に当たる光を無意識に避けようとしたのか、布団から出した右手がそのまま顔を覆ってしまう。しかし、彼女の被っている布団には、たった今、腕を出した時に出来たであろう皺以外、他に乱れというものが見つけられない。 「……なんでカーテンが開いてるのかしら?」 腕の隙間から覗く彼女の視線は、窓の中央で半開きになったカーテンを捕らえていた。 そこからの日差しは彼女と同じく、彼女の隣で眠る別の女性の顔にも当たっているのだが、そちらは一切反応が無い。 「馬鹿の三寸。」 未だに眠ったままの同部屋人を見つめたまま、そんな事を一言呟くと、頭の下にあった二枚重ねの枕を引き抜き、上半身を起こして勢い良く投げつけた。 普通の人間ならば飛び起きてしまうような衝撃にも関わらず、ぶつけられた女性は全くの無反応で、起きる気配は無い。 少女は溜め息を零して時計を見る。 時刻は五時数分前を差していた。
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