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「これは、どういうことだ?どうして、コンピューターが勝手に動くのだ」
「原理は簡単です。このバンドを頭に巻くことで、バンドの内部にある電子機器が私の思考を読み取り、命令を遠隔操作でコンピューターに下しているのです。この技術は、すでに医療の分野でも開発が進んでいます」
「なりほど、キーボードを必要としないコンピューターか。しかも、遠隔操作となると、その場に居なくても、コンピューターを操作できるという訳か。タブレットパソコンに代わる、新しい装置になりそうだな。どれ、少し貸してみれくれないか
「どうぞ。実際に試された方がよく分かることでしょう」
P博士はそう言いって、局長にヘッドバンド装着させた。局長はさっそく、新しい操作方法を試してみる。
コンピューターは素早く、局長の思考を読み取ると、その通りに実行してみせる。ちょっと、考えるだけで、その通りに動いてくれるので、局長が愛用しているタブレットパソコンよりも、ずっと優秀で直感的な操作ができた。これが、もし社会に普及したら、間違いなく効率があがることだろう。
「素晴らしい発明だ。しかし・・・」
しばらく、操作を続けていた局長は顔をしかめた。
確かに、コンピューターは忠実に局長の思考を読み取り、実行に移し続けた。しかし、局長がちょっとでも仕事以外のことを考えると、それを読み取ってしまい勝手に実行していまうのだ。普段は、表に出さないようにしている個人的な嗜好から情報まで、全てがコンピューターに表示されてしまう。
「私の考えを全て、実行してしまうではないか。これは、重大な欠陥だ。一般企業に販売しても、社員の雑念を読み取ってしまい、仕事に支障をきたしてしまうのではないか」
「いいえ。問題はありません」
一見すれば、重大な欠点であるのにも関わらず、P博士は首を横に振った。
「そういう欠陥があるからこそ、政府に是非、採用してもらいたいのです」
「どういう意味だ?」
P博士が何を言っているのか、局長には意味が分からなかった。欠陥があるから、こそ採用をしてもらいたい。全く、矛盾した話だ。
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