一章 転入生

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     東西南北、四つに別れた各大陸の他にも小さな島国は存在する。  空韓(ラハン)、和領国、魔女の国、龍虎、他にも多数の国が存在する中で、最も歴史が隠蔽されているのが和領国である。  東西南北の輸入ルートから外れている大陸外の島国は、扱う魔法もやや異端であり風習も言語も大きく異なる地方も多い。  和領国は特に風習の面で他との違いが明白となるが、それすらも、隠す。  細かな風習を消してしまえるほどの“風習”、それが“なじむ”風習であった。 (……転入生からは特に四大陸外の様な違和感は感じられなかった)  凉也は、無意識に隅で縮こまっていた自分の頭を軽く小突いてから立ち上がり、アリス=クレイバーへの違和感の無さに唇を噛みしめた。 (そうだよ……違和感が無いのが違和感なんだ。和領国出身なら和領国出身らしく見せないに決まってるじゃないか)  現に、委員長を除く全てのクラスメートは彼女が北大陸出身である事に疑いを持っていない。  結論から言うと、振り出しに戻った。 (最初から振り出ししかないじゃないか。北大陸出身なら元より和領国出身でも簡単にそれを悟らせないだろうし。進展させるには……)  直接聞き出すか、なにか証拠となるものを見つけるしかない。  
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