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「笹木第七部隊長……一応、武装部隊の分割部隊長なんですから、弱音はかないでくださいよ」
「その長ったらしくて頭こんがらがる階級名で呼ぶな! ばぁか!」
(この馬鹿なおっさんは、どうやって分割部隊長まで登り詰めたんだか……)
上司の笹木の人格に不満を抱きながらも、それらは全て、空から絶えず降り注ぐ雨に流してやった。
「なんで学生共の試験監視役なんて任されるかねえー。とんだはずれくじ引かされたわマジで!」
「いつまで言ってるんですか。我々が見張らねば行き過ぎた戦闘を止める立場をもった人間がいないのですから、気を引き締めて下さいよ」
部下からの注意を笹木は「うっせ!」と切り捨てる。
そして、迷彩柄の軍服についた胸ポケットから煙草を取り出した。
「やってらんねー」
巨木の茎に腰かけて、箱から手に取った一本の煙草を口に加える。
「笹木さん……また煙草を……」
「この雨だ。わざわざ戦闘をおっぴろげる奴もいねえだろ。罠にかかるリスクも高まるしな」
ここは休むべきだと、笹木は木陰での雨宿りを提案した。
「いつもこうやって楽な道を選ぶ人は、魔族との戦いじゃ生き残れませんよ」
見かねた部下が、説教じみた言葉を投げかけるも、笹木は聞く耳を持たず。
その直後、肺にしまわれた煙を全て吐きだしてから、笹木は至って真剣な表情を作った。
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