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世界には、魔族が存在する。
人間に害を及ぼすものが殆どであり、そんな魔族に対抗する組織こそが魔導軍隊と呼ばれている。
「はい、問題。魔族退治の精鋭である軍への入隊。それを目標としたこの学園での遅刻による罰則は何でしょうか?」
未だ、危機感のない表情のレナに怒り混じりの問いを投げつける。
現状、自分たちがどんな状態なのか、お気楽な頭に叩き込んでやる為だ。
「ん~、減点二。及第点に達さないと資格試験を受けれないねー」
資格試験を受ける為の及第点は、入学の時点で達している。
ただ、加点が酷く難しいのに対して減点は容易いという厳しさの上に成り立っている為か、年に二回の資格試験を受ける事ができる者は四人に一人の割合であった。
「……正解。そして、今日の1時限目に行われる魔導実戦の授業を担当する指導者は誰でしょうか」
そこで、その問いでようやくレナの顔色が変わった。
彼女の青ざめた表情は簡単には拝めない。しかし、真っ青な顔は一向に冷たそうな色合いのまま。
「リヴォルタ教官……だっけ……」
「夢なら覚めてくれ」
少年の現実逃避に近い発言は、遠回しな正解であった。
とりあえず、そう口火を切った後、
「欠席は減点三だ。資格試験の為には無駄に点数を落とす訳にはいかない。門を飛び越えよう」
「うぅ……」
観念した少年と、泣きじゃくるレナ。彼女は一度だけ、遅刻による罰則を受けた事があった。
だが、それは遅刻した後の態度が悪かった為であり、ちゃんと反省してれば減点だけで済まされる。……筈だ。
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