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「虫の死骸が大量投入された壺を背負いながら、うさぎ跳で訓練所を百周する様を動画で学校のホームページに晒されるのはもう嫌だよ……」
脅えながら、過去の悲劇を語るレナ。それを聞いて、少年は苦みの混ざった笑みを浮かべる。
「入学二日目の授業で遅刻してきた時のお前だな。一回でも止まったら壺を狙撃するとか言われて泣きながらうさぎ跳してたよなぁ」
因みにその時の映像は未だに学校のホームページで確認できる。
一躍、彼女は悪い意味で有名人となった訳だが、
「懲りないな、レナン=スティグナー」
あれから、意を決して授業中である筈の教室に踏み込んだは良いが、早々に教官から声を掛けられた。
二人の記憶が正しければ魔導実戦の授業で、生徒たちは外に駆り出されている筈だったのだが。
「そして、泉条凉也(せんじょうすずや)。お前もこの馬鹿女と仲良く遅刻か」
「……はい、すみません」
少年の名を呼ぶ声は、若い女性のものであった。
その声は落ち着いていて、あまり怒気といったものは感じられないが、その冷たい表情が威圧を放ち、凉也も思わず唾を呑む。
レナに至っては教室に入るなり、額を地面に叩きつけて無言の土下座を続行中であった。
その様を一瞥し、若い女性の教官はレナの襟を掴んで持ち上げる。
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