序章

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あ、なんか冷たい粒が当たった。 傘なんか持って無いや…。ぼ~っと歩く。 ふと近くにいた母親らしき人が先を駆ける子供に 「バイバイ」 って言った。 たぶん、あの子は楽しくてはしゃいでるだけなのに、母親はそれを見捨てるのか。 そんな事を思う。 ヤバい位ブルー。たぶん本人たちは全く気にしてないだろうに。 ダメだ。最近ずっとこの調子だ。 悪い方にしか考えが向かない。 雨は強くなる。 ああ、なにもかも洗い流してくれないか。 俺も人間も世界もなにもかもを。 それか、いきなり変な世界に飛ぶとか、宇宙人が侵略に来るとかべたなやつでもいい。 とりあえず、今より人は成長するだろう。 そんな事を考えながら、家の前の横断歩道に足を踏み出した。 最後に見たのは、長年不満だった、青と言われる緑色の信号だった。
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