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声のした方角はそこそこ距離があったらしく、とぼとぼ歩いていたら5分ほどかかってしまった。
「こりゃ食われたりしたんじゃね?」
さっきから何の物音もしないしね。
「attack.ドミニオンズ【氷牙】」
やっぱフラグ回収早いわ、俺の思考回路でも読んでるの?台本とかあるの?
声のしたほうに目を向けると、目の前に少し開けた、いや戦っているうちにできたのだろう、そんな空間があった。
目測で半径50mほどの円形状になっている。どんだけ暴れてんだお前ら。
恐らく先ほどの術が発動したのだろう、いくつもの巨大な円錐状の氷が対峙する物体めがけ襲いかかる。
まさしく牙のように上からも下からも襲いかかり、まるでその氷が口の中に点在する歯のようだ。
しかし――
「効いてるのか?」
鳴き声が聞こえてこない、大抵の場合は何らかの声が出るはずだ。さっきの術、あれでも最上位の魔法なんだがな。
この世界の魔法はランク付けされており、上から
神級魔法:セラフ
究極魔法:ケルブ
古代・禁忌魔法:スローネ
最上位魔法:ドミニオンズ
上位魔法:ヂュナメイス
中級魔法:エクスシア
下級魔法アルケー
となっている。
だがそれも、煙がはれてその対峙している奴の姿を見れば納得した。
「ありゃエウドキアクラムだ」
漆黒の鱗に黄色い眼、前方に突き出したブロンズの角、10mほどの体に尻尾にはこれまたブロンズ色の棘、間違いなくエウドキアクラムだ。
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