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食料は自給自足できないため、他の街や時には国からの輸入に頼り切っているのだが、輸入するには「元手」が要るわけだ。
「あんなもの、ダレがカってくれるのやら」
主な収入源は工業製品の輸出、大人の男たちは朝といっても昼近くに工場へと出勤し、夜が訪れる前に帰宅する。
それだけで余裕がないとはいえ、生活できる賃金を得られる。
「はぁ…」
少年は再び真っ白な息を吐き、鈍色の空を仰ぐ。
「シぬまでにいちどでいいから、ソラっていうものがミてみたいな……」
自分の言葉が馬鹿らしくて苦笑し、坂の下にある家を目指す。
(おトウさんは、もうカエってるのかな)
そして少年は数日前の記憶をなぞりながら、慎重に歩き続ける。
他の人が歩いた後のある石畳の道は石の表面が雪で踏み固められていて、非常に滑りやすい。
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