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足元を見ながらゆっくりと坂を下っていく少年がふと顔を上げた。
民家と民家の間の小路に人が丸まっている――のを見据えた次の瞬間、注意がおろそかになった足元が滑り真後ろに転倒した。
――トシッ、ズルルル
視界が九十度横倒しになり(もちろん横倒しになったのは少年だが)、歩いていた勢いでゆっくりと滑り降りていく。
周囲に人はいなかったので誰にも見られていないのに加えてなかなか致命的な割合でのんびり屋の少年は、空を見上げながら下降が止まるまで、そのままでいた。
(ボウカンギがアツくてタスかった)
何枚にも重ね着した防寒着と、少年の祖母が編んだ厚い帽子がクッションになり、痛みはそれほどない。
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