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朝、男たちが働きに出るより早く、少年は家を出る。
その隣には――
「ね、え。どこ…イく?」
青い瞳の女性が寄り添っている。
「ん~とね、ガッコウってわかる?」
少年の問いに、少しだけ得意げに応える。
「うん、ワカ…るよ。ベンキョウ? するトコ」
そう言って微笑む女性の顔を見上げる。
青い瞳も、銀髪とは違う真っ白な髪も、まだ他の街との交流が可能だった頃に来ていた商隊の人の中にも見たことがない。
(ジッサイにアったこともミたこともないけど、もしかしてこの人は……)
不意に女性は視線を外し、俯いて立ち止まってしまった。
「ごめ…んね」
突然の謝罪に、少年は戸惑いながら振り返る。
「えっと、なにが?」
不安そうに揺れる瞳が、少年を見る。
「ワタシ、しゃべる…ヘタ。
コトバ、わかるけど、うまくしゃべれない。
キミ、それツカれる?」
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