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【誉】
「どーかな?」
そう言って見せられたのは、真っ赤な石の填まったリング。少し考えて、自分のこの紅い目の事だと思い至り気恥ずかしくなる。
「紅い色の方が映えるようですね。お似合いです。」
つい恥ずかしさから素っ気なく答えた事に気付き、すぐに後悔して、ニコリと笑い掛けながら琥珀色のリングを手に取る。
「では…こちらは、私が頂きましょう。
五月君と離れている時も近くに感じられそうです。」
会計を済ませて店を出る。綺麗に包装された袋を下げて少し離れて並んで歩く。
「ねえ、誉さん。さっきヤキモチやいてたでしょ?」
「さっき?」
「あんこくんにw」
「ああ!随分、仲が良さそうだったので、つい。」
「誉さんもヤキモチやくんだねwww」
クスクス笑う五月君を横目でチラリ見ながら笑う。
「前に言ったじゃありませんか。
人との繋がりも、大切で必要な事だと分かっているけれど、仲が良すぎると後から甘やす…と。」
「甘やかすって何するの?www」
「杏子君とは出来ない事をするんです。」
少し離れて歩いていた五月君の手を、キュッと握って引き寄せる。
「手を繋いで歩いてみましょうか?あとは…まぁ帰ってから。
一先ず、せっかく買い物に出たのですから、どこかで食事をしましょう?」
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