その日の晩の話

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「あのね…嗣巳が泣いていたら俺も考えるけど、お前さっきからニヤニヤしてて気持悪い!」   さっきから突っ込みたくて仕方がなかった!とついでに言ってくれた。 なんて失礼な奴だろう。 「そう言われたって、あんな可愛い顔見れたんだよ。予想以上に…うん、ときめいた」 俺ってSなのかな… いや、あれは翔太君が可愛かっただけだ。 「あーあーそうですか。もういいから、いっそ寝るか誰かの部屋にいってくださーい」 「…でも、もう俺と口聞いてくれないかも」 あの時の翔太君はうっかり押し倒したくなるほど可愛い顔をしていた。 顔を真っ赤にして、怒っているような泣いている様な…あんな顔をはじめて見たもんだから興奮もする。 けど、やっぱり嫌われたというショックも大きい。 「はぁ…触りたいな」 「だから開き直るか落ち込むかどっちかにしてくれないかな!?ていうかその上川君、最初からお前に対しての好感度なんてあってないようなもんだろうし、今さら傷つくことなんてないだろ!?」 「あぁ。…それもそうだ」 そんなこと言われなくても自覚していたこと。 これ以上マイナスがないっていう状態ではじめたんだ、上がっていた好感度がまた少し下がっただけで、今さら凹むようなことじゃない。 今は開き直ることにしよう。 「うん、また明日から俺頑張ることにする。勢い余ってチューしたらどんな顔するかな」 「それはやめたげて。それしたらお前マジで嫌われるぞ」 「それは、さすがに困るな」 岡部 豊(オカベ ユタカ)高校2年生。 吉田 嗣巳の同室者。 頭ピンクの見た目ヤンキーでも嗣巳のよき理解者、及び変人。 しかし、常識人である
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