619人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
彼女ができて一番してほしいことってなーんだ。
コスプレ?セクロス?
いや、俺は断じて違う!!
________
いつもの昼下がり。
校舎の裏でひっそりと購買で買ってきたパンを頬張る俺と、隣にいるのは…吉田さん。
けど、今日はいつもと違う決定的なことがあった。
「翔太君、凄い顔してるけど…」
「あっと、別に。そういうわけじゃないんですけど…その、お弁当‥っ」
「ん?あぁ…凄いよね、女の子ってこういうの出来るんだから」
「……」
ははは、と人畜無害な笑みを浮かべる吉田さんに対して、若干イラッとした。
なんなの、この人生の勝ち組?
笑顔でサラッと自慢してるくせに、随分嫌味がないというか…。
あーあー、そうですか、女の子の手作りですか。
羨ましすぎるわ!ボケ!!!
ふと自分が齧っているパンを見つめて、切ない気持になった。
俺も、女の子からそういうことしてもらいたい…。
「翔太君も、ちょっと食べる?パンばっかりだと栄養偏るよ」
「い、いいですよっ。それに…」
「ん?それに?」
「…なっ、なんでもありませんよ」
(その子だって吉田さんに食べてもらいたくて作ったわけだし…)
人の気持ちに鈍感なほうだけど、どうでもいい奴に弁当を作りたい奴なんていないだろ。
女の子って、そういうの大事にしてそうだし…。
そりゃ最強リア充の吉田さんはもらえるのが当たり前かもしれませんけど?
俺が女の子なら周囲の目が気になってとてもじゃないが、渡す勇気なんぞ持てない。
「ふーん。ま、いっか。でもさ…翔太君は俺に作ってくれないの?」
は?
いま、なんとおっしゃいました?
空耳か?空耳ですよね?
信じたくてもジッとこちらの様子をうかがっている吉田さんの目が、空耳じゃない事を告げている。
最初のコメントを投稿しよう!