0人が本棚に入れています
本棚に追加
声が聞こえた。
二人。こっちを向いて話している。
不意に一人と目があった。
綺麗な夕焼け色の目だった。
その目は、一瞬見開かれた後、すぐに、なにかに怯えているような目になった。
だから思いっきり笑ってみた。
その目を見ていたくなかったから。
笑い返してくれることを期待して、思いっきり。
そしたら、本気で驚いたようなその人は、一瞬間を置いてぎこちなく笑った。
それがたまらなく嬉しくて、恐る恐る伸ばされた手をぎゅっと握って、もう一度笑った。
さっき、ぎこちなかったその笑顔は、今度こそ、優しい、暖かい笑顔になった。
最初のコメントを投稿しよう!