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「あなたが気持ち悪いことはわかったから、話を戻すわよ。そう。金の話、もとい仕事の話よ」
「あぁ。それな。おやっさんから聞いたが、俺はこの事務所で働かせてもらえるってな」
俺がそういうと、美鈴はやっと拳を戻し、額に当てて大きくため息を吐いた。
最悪とでも言いそうな態度だな。おい。
「最悪」
おい、こいつ本当に言いやがったぞ。頭を左右に振りながらいやいやするポーズは何とも悩ましいな。
「所長は本当にお人好しなんだから。トラベラーなんて養う余裕なんて、うちの家計にはないだから」
「ここは探偵事務所なんだろ?俺の前職は探偵(見習い)だったんだぜ?仕事は手伝えるさ」
そういうと、美鈴はなおため息を深くし、近くにあった椅子に腰掛けた。
「あなた、昨日うちの所長から現代のこと色々聞いたんでしょ?そんなに簡単に言ってもらっては困るわ」
そう。一昨日の夜におやっさんに拾われた俺は、混乱する頭をなんとか収めつつ、色々と現代(未来の世界)のことを教えてもらった。
さっきのコロニーの話もそうだ。あと、俺みたいなタイムスリップしてくる人間も多くはないが特別珍しいわけではないそうだ。
俺が現代で仕事をすることが困難な理由と、トラベラーの存在。2つに共通するものがある。
そう、この世界には魔法がある。
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