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今日は本当に散々な日だ。厄日に違いない。
なぜかって、浮気調査の尾行中に調査相手にバレてしまい、通報されて警察署にてお説教をいただいた。
そのことが依頼人に伝わってしまい、お金は払わんと怒鳴り散らされて、二回目の説教。
所長にはもう面倒見切れないと言われる始末。
だってさ、浮気調査なんてやる気がでないじゃないか。痴情のもつれなんてどうでもいいしさ。まぁ、その仕事でご飯食べさせてもらっているから、文句は言えないんだけどさ。
なぁどう思うよ。おやっさん。
「俺には分からねー世界だから、なにも言えねぇけどな。まぁそれも仕事つーなら、仕方ねぇじゃねぇのか」
そう言いながら、おやっさんは新しい焼き鳥を目の前で焼き始める。肉汁の焼ける匂いが鼻を擽る。
「俺はハードボイルドな探偵に成りたかったんだよ!でも、今は三毛猫がいないホームズと一緒じゃないか」
目の前のグラスに入ったビールを喉に流し込む。おやっさんに愚痴っているうちに温くなってしまったようで、ビール特有の苦味を強く感じる。あまり好きではない苦味を今はもっと味わいたかった。
いわゆるやけ酒ってやつだ。
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