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「まぁいいわ。この際、あんたがどうやってこの時代にやって来たかはどうでもいい。」
彼女はこめかみを押さえつつ、ため息を吐くと、仕切り直しつつも、拳を俺の前に差し出した。
「さて、時代が変わろうがなんだろうが、人が生活する上で欠かせないものがある。衣食住よ。あんたは、遠い昔からきたわけだからなにも持ってはいない。さぁ、どうする?」
彼女は拳から人差し指をピンっと立てると、それを鼻に突き立ててるくる。うおっ、ちょっと爪刺さってるっ。いたいいたい。
「そ、それは金をてにいれて生活しないといけないわけだな。うん。」
と、できるだけ年上の威厳をみせるためにドヤがおで返してやるが、気に触れたのか、ぐりぐりと押し付けてくる。傷になっちゃうってば。俺はMじゃないのに、開発されちゃうって。どうせなら、足蹴にしてほしいって。足フェチなんだよ。
「そう。金よ。この世のオンリーワンよ。住民票もないあんたが生きるためには、仕方なく、とても仕方なくだけどこの私、美鈴が富永探偵局で働くことを許可します」
そうこの美脚こと、富永のおやっさんの娘、なおかつ、富永探偵局No.2の美鈴に働くことの許可を得るために話していたわけだ。
どういう因果かはわからんが、未知の土地で途方にくれた俺に声をかけてくれたおやっさんが探偵を職としていたとはよくできた話だろ?
フィクションであればいいのにな。
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