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これはね、夏もそろそろ落ち着いた9月の話なんですけどね。
そこの家に住んでる中学生の男の子がいつもより少し早めに目を覚ましたんですよ。
何で目を覚ましたかってえと、まだ朝の5時だってのに一階から女の呻き声が聞こえるんだ。
おかしいなぁ、この時間は一階に誰もいないはずなんだけどなぁ…
そう思っても声はずっとしてますからね。気になって気になって仕方ないんだ。
「うっ…うっ…ええぇ…」
なんだか気持ち悪いなぁ…やだなぁって思いながらももう眠れないもんですからね、階段を一段一段降りてった。
もうでも家ん中女の声以外は静かなもんだから、すごい怖いんだ。でも勇気を振り絞って声のするリビングの方へゆ~っくりと進んだんです。
すると
「ううっ…ああっ…げええぇ……」
ってちょっと声が大きくなってんだ。
もうやだなぁ…なんだろうなぁって不安になりながらもリビングのドアを開けると、テーブルに上半身倒して唸ってる女がいるんだよ。
「ううっ…はああ…ぐうう…」
まだずっと言ってんだ。でも正体をつかんでやるって腹をくくってリビングの明かりを点けた。
すると女が恨めしそうにこっち見たんだ。
腫れた目元は周りが黒くなっててね、口元は妙な形で歪んでるんだ。
少年は恐怖で声が出なかった。
女は呻きながら少年に近づいてくるんだけども全然逃げらんない。
「ううっ…へっ…はああぁ…」
うわっ殺される!
もう少年が全てをあきらめた時、女はこう言ったんだ。
「キョウフケ…たすへて…歯がいはい…」
そこで少年は気付いたんです。
あっ、この人うちのお姉ちゃんだったんだって。
で、これは後から聞いた話なんですがね。このお姉ちゃん、夕べからず~っと歯が痛くてついに一睡もできなかったそうなんです………
皆様も虫歯にはお気をつけ下さい。
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