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その後、撮影は順調に進む。
さっきの出来事なんかなかったみたいに
奈緒はgoddess smileでスタッフを魅了していた。
…さっきまでうるさかった源司は、
一人スタジオの隅で黙りこくったまま
奈緒の姿を見つめていた。
俺も奈緒をずっと見てたけど
頭の中には深く頭を下げる奈緒がずっとチラついていて。
―――いつから、
奈緒はあんなに大人っぽくなったんだろう。
そして、マネージャーとしての源司。
俺の知らない間に、
二人で過ごしてきた時間に、
成長した二人。
ずっと三人で流れていた時間が
今は二人で流れてるのかと思うと。
喉になにかつっかえたみたいに、――苦しい。
「いやー!
ナオちゃんありがとねー!
ほんっと素晴らしかった!
また是非撮らせてね!」
「いえいえいえいえ!
そんな英ちゃんみたいな凄腕のカメラマンさんに
そう言ってもらえて光栄ですー!
こちらこそまたお願いしますっ」
撮影終了。
兄貴の言うとおり、奈緒の
素晴らしい仕事っぷりのおかげで
スタジオは元の雰囲気に戻っていた。
結千さんも若々しさを取り戻したように…
あ、いえいえ…元々の若々しさでキャッキャと
奈緒の隣ではしゃいでいる。
三十路の呪いが怖いので訂正しておこう。
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