プロローグ

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「コレで人類と幻想種は救われる・・・」 見上げた先には、諸悪の根源とでも言うべき敵の心臓部が猛々しく生命の活動を自己主張している。ドクンドクンと五月蝿いくらいに鼓動するソレを、血だらけで、もはや敵の血か自分の血かも分からない程に血塗れて震える両腕でゆっくりとマグナムをその忌むべき存在に向ける。 視界がボヤケ、両腕は震え、照準も定まらない。体は寒気を増して重くなっていく一方・・・。 ああ、悪くねぇ・・・。最後の賭けにしちゃ、実力と運どっちも必要、最高じゃねぇか・・・。 俺が死んでコイツが生き延びるか、このクソ野郎が死んで俺が生き延びるか。最後に運試しだ。 「ああ、悪くねぇ・・・最後の最後に、やっと・・・・今まで死んで逝った奴らの仇が・・・家族の仇が・・・討てる・・・」 「やめろ!●●●!そいつを殺したら中にいるお前まで死ぬんだぞ!何か他の方法があるはずだ!」 「●●●!帰って来て!まだ手はあるわ!あなたがここで死ぬ必要は無いの!だからっ・・・!」 「●●●!帰って来い!帰って来るって約束しただろ?!」 耳元から紫や、賢斗達の声が聞こえる。どうやらなけなしの力を使って隙間を開いて干渉してきたらしい。ハハハ、最後の最後までみんなには世話になったな・・。 自分達までボロボロの癖に他人の心配かよ・・。お人好し共・・が・・・。 「無理だ。もう・・・体が動かねぇんだよ・・気力だけで銃を構えてる・・・どのみち、俺はもうじき死ぬ」 「「「!!」」 「だけど・・・アイツは・・!アイツだけは・・・!必ず殺すって決めてたんだよ・・・!俺に家族の仇を・・・死んでいった戦友の仇を討たせろ・・・!」 この言葉を口にした瞬間、体に少しだけ、ほんの少しだけ力が戻ってきた。コレだけを支えに、俺は今日まで戦い抜いてきた。
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