プロローグ

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普通に生きて、そのまま何事も無く平穏に一生を終えるはずだった俺の人生を滅茶苦茶にして、尚且つ俺から心から分かり合えた友も、愛すべき家族すら無慈悲に奪っていったこいつらだけは決して許してはいけないのだ。 その元凶が、今、こうして後少しで殺せる。このマグナムの重たい引き金を引いて俺の怒りと憎しみ、悲しみ、全てを込めた弾丸で何もかも終わらせることが出来る。 「だったら・・!残された飛鳥ちゃんやゼオン!魔理沙に幽香はどうするつもりだ?!お前が・・・お前が死んで悲しまない奴なんていないとでも思ってるのか!?」 「・・へっ・・・前も言った筈だぜ・・?俺は『異邦人』・・・。此処とは違う所から来たもう一人の『●●●』だ。本当は交じり合うはずの無い運命がこうして皮肉にも、コイツのせいで巡り合った・・・。だが・・・所詮は交われないもの・・・俺には、あいつらに何もしてやれねぇ・・・!何にも残してやれねぇ・・!」 例え俺は生き残ってもこの世界に居座れない。そう、『世界の根源』に定められている。俺がいたという記憶は残るだろうが、本人はこの世界には居られない。全ての厄催を祓って、元の場所・・・つまり、死後の世界に戻る。 俺はこの幻想郷に来る前に死亡している。死んで尚、強い想いを抱き、神が定めた絶対的なルールすら捻じ曲げる程の強靭な想いを抱えた俺の魂は、無理やり肉体を再構築しこの現世に再誕した。強靭な魂は、時に理解不能な奇跡を起こす。俺はその奇跡により、今こうして生きている。だが、これは言わば延命措置であり、結局の所、死の引き伸ばしでしかない。 そしてこの戦いを終え、全てが終わった時、俺の魂は自然と、神の手により死後の世界に引き戻される。 結局、別れなければならないのなら・・・俺は、このままコイツを道連れにあの世に行きたい。 そうすればあいつ等の悲しむ顔も見ないで済む。
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