プロローグ

2/5
前へ
/20ページ
次へ
「で、何で俺は朝っぱらからお前に付き合わなきゃ、なんないんだよ!!」 夏休みも今日で終わる8月31日の午前9時。 全国チェーンのファーストフード店『エムドナルド』に少年の怒ったような声が響き渡る。 そこには二人の少年と美少女がおり、それぞれのテーブルにハンバーガーとドリンクが一つずつ置かれている。 そして、外はまだ残暑が残っているのか窓からでも日差しの厳しさが見てとれる。 それに、蝉もご贔屓にまだけたたましく鳴いている。 「もし~もし、俺の話聞いてる?」 少年はその鳴き声にイライラしつつ、目の前にいる少女に今度は皮肉っぽく訪ねる。 しかし、彼女も我慢の限界なのか、肩を震わせながら手に持っていたドリンクを乱暴にテーブルに置く。 彼女のこめかみにはうっすら青筋が浮かび上がっている。 「ああ、聞こえてるわよサッカーバカ!!目の前に女の子がいるのに、あんたはサッカーしたいとしか思ってないんでしょ、バカ!!」 早口でひとしきり大声で反論したあと、疲れたのかハアハアと肩で息をする少女。 「へぇへぇ。俺はどうせ、サッカーバカだよ~だ。ああ、帰ってWカップの続き見てぇ~」 しかし、少年は悪びれる様子もなく、むしろ開き直った様子で女の子への気遣いも気にしてない様子だ。 「本当、バカ…」 少女はそんな少年の姿に愛想をつかしたのか、大口でハンバーガーを頬張った。 少年はもっとおしとやかにしろよと言いたかったが、火に油を注ぐようなことになりかねないので、止めることにした。 (んな事より、どうしてこうなった?) それより、今日の朝の事をもう一度思い出してみることにした。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加