paradise<楽園>へ招待

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朝、六時三十分。 携帯の目覚ましで起きる一人の青年。 まだ寝ぼけているのか状態を起こした壁を見る。 青年がいる部屋はバスルーム・トイレ、台所付の学生寮。 大学三年の二十歳。 名前は松山 春香。女の子っぽい名前だが正真正銘男。 足りない163センチ。不健康そうな白い肌。トゲトゲした茶髪。ちょっと目付きが悪く、その奥には真黒に輝く黒い瞳。 頭をボリボリ掻きながら携帯を手に取りメールボックスを開く。 昨日、飲み会でその報告がメールで送られていた。 その件数十件。 全て見るのがめんどくさいので携帯を畳む。 十月六日日曜日。 何も予定はないのに携帯の目覚ましをOFFにしておくのを忘れてしまった。 二度寝しようと布団を被ったが完全に目が覚めてしまったのか中々眠れない。 しょうがないので朝食を作ろうとベットから下りると、 ストンー。 とポストに何かが入った音が聞こえた。 新聞は取ってないし、こんな朝早くに郵便が来る訳ない。 勧誘とかそういう手紙だろう。と適当に考え、玄関に向かう。 玄関の扉の下に台形のポスト。 引き出しのように手前に引くと収納ボックスがある。そこには縦四センチ、横五センチの長方形の封筒が入っていた。 普通の手紙とは言えなかった。 真黒な封筒に宛て名は書かれていなく、なんだろう?と手紙をひっくり返すと。 「-ッ!!」 中身を急いで確認する。 封筒より一回り小さく、白いカードが一枚だけが入っていた。 表には黒色で、『paradise<パラダイス>への招待状』。裏には、 『※※※様へ。このカードを持ち近くの港へ十時まで来てください。少しでも遅れた場合、拒否ということで参加できません。時間厳守でお願いします。』 春香はこれを見てカードを握り潰そうとしたが止めた。 このカードが無ければparadiseには行けない。 代わりに片方の手で拳をつくる。 そして奥歯を強く噛み締める。 僕のあれを知っているのか・・・ブッ潰す。 やっと手に入れた平穏。 それを守るためならこのくだらねぇ奴らを殺してでも・・・。 そこに書かれていたのは昔の異名。 知られてはいけない昔話。
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