始まりは突然に

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 これを読む時は、自分は生きていないだろう。 しかし、前の人が記録を残していなかったため、 何も参考にならなかったことを思うと、自己満足かも 知れないが、残しておくことにした。  それは、突然起こった。五年前に発生した巨大地震の 歪みが地下に蓄積し、マグニチュード9.6の地震を 局所的に起こしたらしい。 これは、今になって思う推測でしかない。 何故なら、今俺は一人で、文化的生活から程遠い時代に 飛ばされたらしく、マスメディアなる物を見ることが できないからだ。 地震で上下左右に揉みくちゃにされながら、気を失ったらしく、 気が付くと、樹の根本で朝日を浴びて寝ていた。 昨日(といってよいのか判らないが)仲間同士でやった サバイバルゲームの打ち上げで酒に酔ったせいで、普段着のまま だったことが幸いした。 体の節々の関節が、変な恰好で寝たせいで、悲鳴を上げることに 耐えながら、立ち上がり、周囲を見渡してみた。 獣道しかない山奥で、人の気配も感じられない。 仕方なく俺は、近くの人家を求めて、山を下りることにした。 腹の虫が騒がしくなったこともあった。
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