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こんなに走ったのはいつ以来だろ。
息が続く限り走っては見たが、遠目にあの館が見える。
目の前を流れる小川の側で一休み、やっと息も整ってきた。あぁ、逃げ切れた…か。
川の水で喉を潤そう、傷口を軽く洗おう。
改めて見るとなんとまぁ、ボロボロだオレ。白の長袖シャツも胸部が破れて焦げてる、黒のジーパンすらも擦れてヴィンテージ感が出た。
これ…最近のお気に入りだったんだけど。
んっ!靴まで汚れたよ。
あ、ポーチ落としてる…。
肩から斜めに掛けるのが流行だって聞いたからやってたんだけど、無残に焼かれたよ…ベルト。
主の為に犠牲になった、そう考えよう。
主って響きいいな、こう…そそられる。傷口流しながら何考えてんだろ。
草原に転がる、少し休もう。
目を閉じると眠気が襲う、寝てもいいかな?
いいよね、答えは聞かない。
おやすみ。
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