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なんやかんやで見事、先輩のプライベートルームを美術部にすることが出来た僕は色んなものを描いた。
だが一番描いたものはまず間違いなく先輩だろう。
ことあるごとに自分を描けとせがんでくるものだからこの2年で人物画だけはやたらと向上した気がする。
美術室に行くと大抵先輩はいる。
授業も殆ど免除されているらしく、この前は1人で朝のHRから放課後まで某ゾンビゲームを全作クリアしていた、アホか。
職員室からホームスクリーンを持ってきて某未来の猫型ロボットのおばあちゃんの思い出を一緒に観たこともある。先輩の嗚咽のせいで僕は泣けなかったが。
調理部から借りてきたといってオーブンを持ってきて、ウェディングケーキみたいな超大作ケーキを作っていたこともあった、調理部に入部しろ。
元々そんな性格だからか先輩は我が学校きっての変人として名を轟かしていた。
その上更に人気もあるときたもんだ。
そのパッと見可憐な容姿から男女問わず憧れられ、無駄に男前なので後輩女子からは絶大な人気を誇る。
ラブレターを貰っただの告白されただの浮ついた話を聞いたのも1度や2度ではない。
ただし言動も行動も基本的にエキセントリックな人なので夏を過ぎる頃には先輩は異性からすっかりただの変人として扱われるようになっていた。
そんな日々をこの人は3年間やっているのだ。
1年の頃は上級生と同級生に。
2年からは後輩に。
いずれも春頃までは高い人気を誇っていたが、先輩にときめいた誰もが恋慕の感情からスーパーマンを見る目に変わって行った。
まぁ相変わらず同性からの人気は凄いのだが。
ただ基本スペックが高いから何でもやるし目立つだけでやっていることはほとんど遊んでるだけなのでほぼニートと変わらないと思う
なので以前先輩に学生ニートと言ってみたら後日僕の下駄箱にこれでもかというくらい大量の練りけしが詰め込まれて下駄箱がパンパンになっていたことがある。
その日以来クラスの女子の間で僕のあだ名が「ネリ・ケシ夫」になり枕を濡らしたのは遠い思い出だ
一部で「ケシ・カス朗」派もいたらしいが少数派だったため「ネリ・ケシ夫」派の波に抗うことが出来ず、歴史の彼方に葬り去られたらしい。どうでもいい。
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