僕は先輩の隣へ行く

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 結果としてその作戦は大成功だった、僕達は見事最優秀部として学校中に名を馳せた。元から先輩の名は馳せているけれど。  大空に咲いた大輪の花、学校だけじゃなく近所の人たちからも賞賛されるくらい美しい花火。  先輩監修の元初めて作った花火が空に咲いたときは思わず涙ぐんだほどだ。  ただ惜しむらくは、その花火の火花が屋上で酒を煽っていた校長の頭に落ち、校長のヅラが燃えたということだ。  パニックに陥った校長は「私の髪が! 私の髪が!」と言いながら燃えカスになったヅラを握り締め校庭内を2週半し、学校祭での話題を根こそぎ掻っ攫っていった。  おかげで現行犯として生活指導の教師に捕まり、僕は3日間の停学と反省文提出を余儀なくされた。  何故かちゃっかり先輩は無罪放免になっていた。なぜ実行犯が罪に問われないのか…。  ただし停学期間中先輩が毎日僕の家に来て課題を手伝ってくれたりご飯を作ってくれたりかなり至れり尽くせりだったので僕にとっては良い思い出だったりする。  聞く所によるとその後も校長は「私の髪が燃えた」と言い張り最後までヅラだということを認めなかったという。なにそのプライド。  ちなみに僕はその日得たものが2つある。  1つは女子の間で僕のあだ名が「ヅラハンター」に変わったこと。もういっそ殺せ。  そしてもう1つは花火に照らされた先輩の嬉し涙を見て芽生えた、僕の想いだ。         × × ×  
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