桜がまうころに

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俺には、多分大切な人がいたのだろう。 病気になる少し前の事を、俺はあまりわからなかった…… でも、微かに残る記憶の俺はいつも笑っていた。 いつも幸せそうだった。 隣にいるはずの、君の全てが、 今の俺には見えなかった。 俺の記憶は、すでにつぎはぎだらけのパッチワーク状態になっていた。 抜けた部分を無理矢理違う布で縫い合わせた記憶…… 全てを失う日は近いのだろう……
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