始まりは痛み

11/14
2413人が本棚に入れています
本棚に追加
/551ページ
気付けば、雨が降っていた。 動かなくなった男達を執拗に殴りつけ、流れる水を見てふと我に返る。 これじゃ、血が止まらないな、と思った。 掴んでいた相手の胸倉を放して、ふらふらと当ても無く歩き出す。 自分は、何の為に生きているんだろう。 何の為に、生まれたんだろう。 自分はここに居るのに、居場所は何処にもない。 そんなことはわかっていた。 なのに。 ここに居ない母親が、自分を縛り続けている。 顔すら、覚えていないのに。 だけど、死ぬ勇気も持ち合わせて居ない。 望まないのに生かされている。
/551ページ

最初のコメントを投稿しよう!