13人が本棚に入れています
本棚に追加
「使えよ…。」
「あんたはどうすんのよ…。まさかずぶ濡れで帰る気じゃないよね…
「俺は傘がなくても平気だから。」
俺は傘を夢叶のそばに置いた。
「……」
「……」
お互いに黙りこくってしまう。外の雨のザーッという音だけが聞こえてくる。
「…分かった。じゃあこうするわ!」
彼女が傘を拾い2人の上でさした。
思わず驚愕してしまった。
「ほら、さっさと帰るわよ!あ、あと傘持ってよね!疲れるんだから!。」
「お、おう…。」
結局、相合傘になってしまった。
ってかこれ俺のだよ?なんで俺が命令されてるの?ねぇ?やっぱ、こいつ野蛮女だ…。
「誰が野蛮女だ!ごらぁ!」
夢叶のキックが俺の尻に炸裂する。正直、痔になってもおかしくない。とてつもなく尻が痛い。
夢叶家まで見送った後、家へ全速力で帰った。到着時刻は6時35分くらい。なんとかギリギリ…
「た、ただいま~ハァハァ…」
「おかえり~!お邪魔してるぞ!」
と帰って早々に玲那が出てくる。
ってか本当に泊まる気だったんだ。
「さて、帰ったところでいろいろと話したい事あるからリビングへ来い…。」
いつも通り、帰って早々怒られる。
そのあと、玲那も一緒に夕飯を食べ終わる。
またその後風呂に入り、いつものようにテレビを見てくつろぐ。母さんはもう寝た。
はぁ~とため息をし、ソファにもたれた。その直後、友梨が俺の膝の上に飛び込んでくる。
これ、本当に中3かよ…
「お兄ちゃん!なんで玲那をうちに泊まらせるの?」
「しょ、しょーがないだろ?そうしなきゃ許してくれないって言い張るんだから。」
昔から妹と玲那は仲が悪い。というよりも一方的に妹が玲那を嫌っているだけなのだが。
「もういいもん!今日は罰として膝の上にずっといるもん!」
「っちょっ!!お…おま…もう中学三年だろ?」
思わず、吹いてしまう。それは俺の膝のライフがもたない事を意味する。
「やだ?お・に・い・ちゃ・ん!」
知っているだろうか。世界のお兄ちゃん属性の皆共。これが妹という種族だけが使える必殺技なのだ。
否定なんて出来なかった。だってその必殺技は最強なんだもん!!
「しょ…しょ…荘は…何をしてるのだ…。」
風呂から出てきた玲那にこの姿を見られてしまう。
「ま、まて!ご、誤解だ!」
「そうか…そうなのか…そうなんだな…。そういう趣味があっただなんて…。この変態めっ!!」
最初のコメントを投稿しよう!