第二章 俺の青春が早くも終わる!?

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違和感を察しながらもまだ眼は開けなかった。何かいけないものを見てしまいそうで恐かった。 ポツン 頬が一瞬冷たかった。何か冷たいものが俺の顔に落ちたのだろう。でも、この冷たいものは頬から滑る様に落ちていった。 これ…涙か? そう思い、眼を開けると玲那が俺の体の上にこちらを向いて座っていた。 「お、お前!?…何で人の上に乗ってんだよ。ってか何で泣いてんだよ。」 俺が起きるとともに玲那は顔を離し、涙を拭いて手で隠した。 「べ、別に…。泣いてなんかないもん。」 そうやって涙を拭うと、真っ赤な眼をしながらどう見ても泣くのを我慢している玲那が目に映った。 そうか…あれからこいつと数年も会ってないんだな。 「本当はね、安心したんだよ。荘が元気だったから。もう一生、会えなくて話せないと思ったから。」 そうか…ずっと我慢してたんだな。泣いたら心配させちゃうって。ずっと不安だったんだな。 「ごめんな。側にいてやれなくて。」 そうやって玲那の頭に手を乗せた。今の俺にはここまでしか出来なかった。じゃあ、俺の生きてる世界に来いなんて言えなかったから。 こっちに来たって助かるわけじゃない。俺の生きてる世界はまだ暗い。目の前なんか何も見えないのだから。だから何も言えないのだ。 「元気にしてた?」 元気じゃない。目の前はいつも暗闇ばかりだ。そんな事は言えない。せめて、玲那の前だけは元気な姿を見せてやりたい。 「俺はいつだって元気だよ…。」 俺の顔は笑ってないただの笑顔だった。 「…そう。」 玲那はそれだけ答えると自分の寝床に戻り、布団に潜って目を瞑った。そして、今日を終えた。 日差しが窓から刺した頃、目覚ましがいつものように鳴りひびく。 昨日が寝るのが遅かったから、まだ眠い。そのせいか大きく、ため息をした。 さて、準備するか…。 玲那はもう布団の中にはいなかった。すでに起きているのだろう。俺はリビングへ向かった。 「あ…そういえばあいつらすげー仲悪いんだっけか…。」 それを覚悟してリビングへ入る。 「友梨ちゃん!!とりあえず包丁を下ろしてーーーー!」 そこにはキッチンで玲那がロープで結ばれ、まな板の上に置かれていた。 「謝り方がちげーダロォゴラァ!!」 「すみませんでした。私が悪かったです。これからは気をつけます。」 そう言うと、こちらに気づく。 「あら、お兄ちゃん。おはよう。」
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