第一章 俺達の青春と出会い

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第一章 俺達の青春と出会い

 平穏な毎日とは良くないものである。何も変わらない一日を過ごし、何かある訳でもなく過ぎていく時間。 楽な毎日で楽しい事に巡り合い、没頭するそんな高校生活に憧れ、そんな日々が続くと思っていたが 何が没頭だの憧れだの。 そんな事に魅了された事自体が正直、馬鹿馬鹿しい。 既に友達を作ってる奴もいれば、片隅で話かけるなと言わんばかりに本を読んでいる奴もいる。 どいつもこいつも…… 何故にお前らはそんなに楽しそうなんだ。ああ、ちくしょ…これがいわゆる 惨め… そう思われて当然。この現状、環境を作ったのは他誰でもなく、自分自身。 何となく分かっていた。 人付き合いが得意でもなければ好きでもない。かと言って、何か行動したわけでもない。  放課後、中庭のベンチの横に木で囲まれた草むらで寝転がる自分に心地よい風が吹いた。 周りの花や草、木が風で揺れている。全身周りに渦が巻いている感覚。 外からでは見えにくいからか、自分以外の誰もいない。 何よりも風が透き通っていく不思議な感覚が何よりも心地良い。例えるなら風に優しく抱え包まれている様。 チャイムが鳴ってもここに居る理由。根拠も無く、ただここが落ち着くからだ。 「決して青春なんかしてねーな…」 そんな現状に満足をしているわけでもない。かと言って努力をする程の目標もない。ただ、あの頃には戻りたくない という恐怖と不安がこの足を止める。 決して思い出したくない過去がある。ノイズが頭を過り、頭痛に襲われた。 それは今でもトラウマだった。心に憎いほど刻まれてしまった残酷な過去だ。そんな嫌な過去からただひたすら逃げていた。 ただきっかけが欲しい。何からも縛られない楽しい日々。 未来とか夢とかそんな事どうでもいい。都合の良い言い訳を並べて逃げてるだけなのも薄々気付いてもいる。 それで何か変わるならそれでも良い。 何時間経っただろうか。教室には行きたくないし、別に今更行ったところで何かが変わるわけがない。 清らかな風のせいで視界が段々暗くなっていき、やがて意識が遠のいていった。 どうせ、サボってるんだからここで寝てようとも今更関係ないだろう。 深く考えずに、迷い無く目を閉じた。
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