第一章 俺達の青春と出会い

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「ねぇ………ねぇって…」 夢だろうか。熟睡してる中、高い声で眠りを覚そうとする声が薄ら聞こえる。 「ねぇ…あんたさぁ、こんな時間まで馬鹿みたいに寝てて大丈夫なわけ?」 きつい言い方で2回3回と横腹を蹴られ、その後、「はぁ~」と言いながら容赦なく顔に土足をのせる。 「無視?邪魔って言ってるの!このまま退かずに踏み潰されて植物の一部にでもなる気?」 そのまま靴でゴリゴリとされる。 「ゔぅぅ………痛い!痛い!っなんだよ!痛いわ!どれだけ迷惑でも人を踏み潰すって非常識か!って…あんた誰?」 そこには背中まで伸びてるだろうストレートの髪が俺の顔を影となってこちらを見ている若い女性が映っていた。 「非常識なのはそっち!そんなとこで寝てると邪魔なのよ!」 正論を言われて言い返す事がない…。 周りをよく見てみると、周りに木の影がさらに強くなっており情景が先程の記憶より明らかに暗かった。 『そんな時間が経っているはずが無い』と都合よく解釈をしようとするが、偽りもなく現実だろう。 時間を確認する為、右ポケットの中をガサガサと探る。 …あれ…? 右ポケットの中は空っぽにだった。 「ん?もしかして探し物でもしてる?」 汚れた物を持つ様に二本指で俺の携帯であろう物を持っていた。 画面にはバッテリーが0と表示されている。 「バッテリー……もしかして、この暗さって……いや、そういう事だよな…。」 自分の鈍感度と今日一日を無駄にした様なこの気持ちに苛立ちを覚えた。 「もしかしなくても、そういう事よ。分かったら退いて欲しいんだけど類人猿さん。でも、お猿さんには言葉は通用しない物よね。困った困った。」 「あぁ…すまん。ってか おい!類人猿とはなんだ!どう見たら猿と勘違い出来るんだよ!」 「そんなとこで寝てるのだから猿と一緒よ。良かったわね、言葉が通じるからきっと頭が良い猿よ。」 「だから猿じゃねぇ…俺もお前と同じ人間なんです。」 「分かったから、ツベコベ言わず早く退く!もう一回踏まれたいの?」 「ど…退くから!もう踏まないで下さい!後、動物呼ばわりもやめてくれないかな?」 なんなんだよこいつ。本当に初対面か? 実は何処かで会ってたりするのか…………そんな事ないよな。 「ヨイショ…っと。んで…あんたも1年か?」 「私のネクタイの色見れば分かると思うけど、あんたと同期よ。青色のリボンとネクタイは1年、赤色は2年、緑は3年。」 嘘だろ。 こいつ、マジで初対面であんな毒を吐けるのかよ。いや、待てよ… 「その口調からすると…嘘だろ…。お前、まさかダブった?」 瞬間、彼女は綺麗に宙を舞い足を回転させ、俺の首の根元に鋭い蹴り入れた。綺麗な回し蹴りが俺に直撃をしたのだ。 「あら、そんなに植物になりたい?そもそも留年なら私のリボンは赤色じゃなきゃおかしいでしょ。」 その時、はっきりと理解をした。いや、せざるを得ない。 彼女を怒らせてはいけない…。 意識を数分失っていた。 それより、彼女は俺と同じ1年生なのになんでこんな時間までここにいるのだろう。 「なぁ…なんでこんな時間に?」 「あんたには関係ない。」 「関係ないって……まぁ、いいや。俺は神谷荘助って言うんだが。まぁ…その…宜しくな。」
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