第一章 俺達の青春と出会い

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「…ははーん。さては私に青春を求めてるわね。そんな人任せで何かを求めてたって何も変わりはしない。今あんたの出来る事は何?それも分からず、彷徨う。虚しいわね。さぞ神様も呆れて言葉も出ないわ。」 呆れらてるのは目で見るよりも分かってる。全て正論だし言い返す言葉なんて考える気も失せた。 「言い返す気も失せるよ…。言われなくてもそんなの…そんな事分かってんだよ…。」 一人焦って図星を突かれた俺にはただただ逃げた。それでも彼女は冷静だった。 お節介なんかじゃない。ただ目に映った光景があまりにも醜かったから。ただそれだけ。今はそれだけで十分だった。 「あんたには度胸がない。影でウジウジしているようじゃ、いつになっても望む生活なんか出来ないわ。まずは笑う事ね。」 初めて笑った。初めて彼女の笑顔を俺は見た。なんだ、こいつも笑えるんだな。 それを見ている俺も少し頬が上がった気がした。 「まぁ、けど、あんたは他の連中とは何かが違うみたいね。少しくらいなら私との接触を許してあげる。それで何かが変わると思うのなら。」 「そうですか!?いいんですか!?では触らせて下さい。お願いします。一度触って見たかったんです。」 「そ、そういう意味の接触じゃない!!っっっっっ!!貴様ァア!!マジで死ねぇえ!ぶっ殺す!」 恐る恐る忍び寄る俺の手が2つのプリンを触りそうになった瞬間、夢叶の凄まじいハイキックが俺の顔面へと直撃し、俺はぶっ飛んだ。ここから見えなくなる程に。 そんな俺を心配などする訳もなく、彼女は怒りながら校舎に向かって歩いていった。まだ諦めた訳じゃない。いや、諦めることが出来なかった。 彼女を見ていると確かにそう思えるんだ。だから、俺たちの青春に花を咲かす為、今日からも頑張ろうと思う。しかし、青春までは程遠いみたいだ…。 拝啓、過去の自分へ。 つまらない日々に飽き飽きしていた貴方に僅かな小さい希望の光と出会う事になり、きっと青春に花が咲く事でしょう。
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