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―保健室―
「で、君はなぜか急に倒れた成井さんを、背負ってここまで来た、と」
そこには白衣を着ているかなりの美人がいた
この人は篠崎数見[しのさきかずみ]、場所、服装からわかるとおり(…わかるよな?)養護教諭だ
「はい、そうです」
「君はなんというか・・・」
なんだろう、少し小さい声でなにかを言っている気がする
そして貶されてるような…
「えっと、なんですか?」
「いや、なんでもないよ
昨日はバレンタインだったね、君はチョコレイトをもらえたのかな?」
さきほどの呆れた表情はなくなりからかうような感じで聞いてきた
「いいえ、昨日は家族からしかもらっていません」
成井さんにもらったのは今日だし嘘はついてない
篠崎先生は、少し怪訝そうな顔をして
「おや、それは…
まぁ、いいか
ほら授業が始まる前に教室に帰りたまえ」
「そうします」
━━ガラッ
保健室の扉を開けて部屋から出ようとしたとき再び声をかけられた
「そういえば、君は9年前の事故のことを思い出したかい?」
━━ドクッ
「事故が起きたこと事態は親に聞いていますが、クラスメイトにも言っていないのに、なんで知っているのですか?」
喉が渇いてきた、あの時のことを思い出すといつもこうなる
事故の内容すら覚えていないのに
「見ての通り保健の教諭なのでね、いろいろ知ってるのだよ…」
その2つにどのような関係があるのかはわからないが
「そうなんですか」
ここから早く出よう
「遅れるので教室に戻ります、失礼しました」
「ああ、また来たまえ」
━━ピシャッ
―廊下―
自分が9年経っても思い出せないことを今さら考えたって仕方がないことだ
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