SAVE1

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おそるおそる黒い携帯電話を手に持ち、電源ボタンを動かしてみるが 「電池切れ…」 当たり前だ。この携帯電話は持ち主がこれを手放してもう何年も経っている。 毎日掃除をしている母親も携帯電話の充電までするはずがなく、私も今までこの携帯を手に持ったことなどここ数年ない。 最初の頃はいつ電話がかかってきてもいいように自分の携帯とこの携帯を手放すことはなかったが、それが無駄なことだとわかってからは逆にそれを恐れるように机から動かすことはしなかった。 送信時間を見ると今から5分も経っていないことがわかる。 つまり今この場にいない母親も父親も勝手にこの携帯から私の携帯電話にメールを送ることなんて出来ない。 (なら誰が?何の目的で?) 昔の記憶を辿ってデスクの中から携帯の充電器を探し、近くにあったコンセントにさして、充電しながら携帯電話を再度操作すると、しばらくの沈黙の後画面が明るくなった。 (メール画面…) 開こうとすると4ケタの暗証番号。 これは昔警察の人が捜査で探し当てた数字だから覚えている。そうでなくてもこの数字は私と匡にとってはとても大事な数字だから忘れようもない。 「2……3……」 覚えのある数字を4つ入れて開かれる通常画面から急いでメール画面に移る。 「メール最終発信は…」
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